このシリーズではアメリカ人の英語教師が作成するTOEIC Part5 練習問題とその解き方や英文法を解説します。
TOEIC Part5 短文穴埋め問題 Vol.1-2
英文の空欄に該当する最も適切な単語やフレーズを(A)~(D)の選択肢から選んでください。
Question #6
Steve Jobs is a role model for many __________ work in the high-tech industry.
(A) of which
(B) of whom
(C) which
(D) who
※問題の解答は下にあります↓
Q6の解説(関係代名詞の文法問題)
【問題文】
Steve Jobs is a role model for many who work in the high-tech industry.
スティーブ・ジョブズは、ハイテク業界で働く多くの人々の手本となる人物です。
(A) of which (B) of whom (C) which (D) who
この問題文は次の2つの節から成り立っています。
(主節) Steve Jobs is a role model for many
(従位節) who work in the high-tech industry
主節の“many”は代名詞で、この文では「多くの人」という意味で使っています。manyを代名詞で使う場合は、一般的に「many of 複数名詞/複数代名詞」と書きますが、文脈からmanyの対象が分かる場合は many のみを代名詞として使うことができます。問題文では many を“who work in the high-tech industry”の関係詞節で修飾しています。
【解き方】
この問題を解くには、“a role model for”(~の手本となる人物)に着目します。“for”の後には目的語が続きます。“for”の後に文(主語+動詞)をつなげることはできません。よって“many”は“for”の目的語です。目的語として使えるのは「名詞」または「名詞句」のみです。問題文では“many”を先行詞とし、who(主格の関係代名詞)で後続する“work in the high-tech industry”を結び付け“many”を修飾しています。よって(D) whoが正解です。
【不正解の選択肢】
(A) of which をブランクに置いた場合、「for + many of which(主語)+ work(動詞) ~」の構造になってしまいます。“for”の後に文(主語+動詞)をつなげることはできませんので不正解です。(B) of whom も (A) と同じ理由で不正解です。
(C) which は先行詞が「もの」または「動物」の時に使う関係代名詞です。この問題文での“many”は「人」ですので“which”を使うことはできません。
【答え】
(D) who
Question #7
The company was doing so well staying ahead of its competitors until a year ago, but ____________ it is now headed towards bankruptcy.
(A) for
(B) because
(C) otherwise
(D) nevertheless
※問題の解答は下にあります↓
Q7の解説(接続副詞の文法問題)
【問題文】
The company was doing so well staying ahead of its competitors until a year ago, but nevertheless it is now headed towards bankruptcy.
1年前まで会社の業績は良く競合相手よりも有利な状況にあったにもかかわらず、今は倒産に向かっている。
(A) for (B) because (C) otherwise (D) nevertheless
この問題文は次の2つの節(等位節)から構成されています。
(節) The company was doing so well staying ahead of its competitors until a year ago
(節) nevertheless it is now headed towards bankruptcy
“nevertheless”は副詞で「それにもかかわらず」という意味で、通例は文の先頭に置いて使います。問題文のように、“but nevertheless”のように表現することも多いです。この場合“but”が“nevertheless”の対比の意味を強める働きをしています。
【解き方】
この問題を解くためのヒントは、2つの等位節が「反意・対立」の関係であることです。文の意味が通じる選択肢は (D) nevertheless のみです。
【不正解の選択肢】
(A) for をブランクに置くと“but for”のイディオムが形成されます。“but for”は仮定法で「~がなければ、~がなかったら」という意味です。
(B) becauseは理由を表す接続詞です。“but because”は“not because A but because B”「Aの理由だけでなくBの理由で」の英語構文で良く使われます。
【not because A but because Bの例文】
The company went bankrupt not because the economy went into recession but because their new project failed.
経済が不況に陥った理由だけではなく新しいプロジェクトが失敗した理由で、その会社は倒産した。
(C) otherwiseは副詞です。接続副詞として使う場合の意味は「さもなければ。そうでなければ」です。接続副詞は接続詞のようにカンマの直後に書くことはできません。
otherwiseをブランクに入れると、「節 + カンマ + but otherwise + 節」の構文になります。この構文の“otherwise”は「その他の点では。それ以外は」という意味です。
【but otherwiseの例文】
The project is two weeks behind schedule, but otherwise it is on track.
プロジェクトは予定より2週間遅れていますが、それ以外は順調です。
【答え】
(D) nevertheless
Question #8
XYZ Semiconductor Corp. __________ with soaring electricity prices caused by a power plant accident has overcome the financial crisis recently.
(A) facing
(B) encountering
(C) confronted
(D) collapsed
※問題の解答は下にあります↓
Q8の解説(動詞の語彙問題)
【問題文】
XYZ Semiconductor Corp. confronted with soaring electricity prices caused by a power plant accident has overcome the financial crisis recently.
発電所事故による電気料金の高騰に直面していたXYZ半導体株式会社は最近、経営危機を克服した。
(A) facing (B) encountering (C) confronted (D) collapsed
この問題文の「主部」と「述部」は次の通りです。
(主部) XYZ Semiconductor Corp. confronted with soaring electricity prices caused by a power plant accident
(述部) has overcome the financial crisis recently
主部の“confronted with soaring electricity prices”は形容詞句で主語の“XYZ Semiconductor Corp.”を修飾しています。“caused by a power plant accident”も形容詞句で”electricity prices”を修飾しています。
述部の動詞の原形は“overcome”で「(困難・障害など)を克服する」という意味です。“has overcome”は 「現在完了形:have/has + 過去分詞」 の形になっています。“has overcome”は、過去に経営危機を克服した状態が現在も続いていることを意味しています。述部の“recently”は副詞で「最近」という意味で、現在完了形または過去形と一緒に使います。
【解き方】
選択肢の (A) facing は face の現在分詞です。faceの他動詞は、「(困難などに)直面する。(物、場所、建物など)に面する」。(B) encountering は encounter の現在分詞です。encounterの他動詞は、「(困難などに)直面する。(人に偶然)出会う」という意味です。
(C) confronted は confront の過去分詞です。confrontの他動詞は、「(困難などに)直面する。(困難などに)立ち向かう」。(D) collapsed は collapse の過去分詞です。collapseの自動詞は、「(建物などが)崩壊する。(事業などが)失敗する」という意味です。
選択肢のundergone以外の単語は「困難に直面する」という意味を持っているので、選択肢の意味だけでは正解を判断できません。この問題を解くための最初のヒントは、“has overcome”です。“has overcome”が「述語動詞」だからブランクに入る単語は「現在分詞」または「過去分詞」だと分かります。2つ目のヒントは“with soaring electricity prices”の“with”です。“with”と組み合わせて使える動詞が正解ということが分かります。
(C) confrontedをブランクに入れると、“XYZ Semiconductor Corp. confronted with soaring electricity prices”で「電気料金の高騰に直面していたXYZ半導体株式会社」と訳すことができます。文の意味も通じるので confronted が正解です。
“主語 + be動詞 + confronted + with”のフレーズは「主語は ~ に直面している」と訳します。“be confronted with”は「受動態」です。confrontedは他動詞の過去分詞です。
次の例のように、Corp. と confronted の間に“that was”を入れることも可能です。この that は関係代名詞です。
XYZ Semiconductor Corp. that was confronted with soaring electricity prices.
次の例のように、confronted は「能動態」で書くこともできます。
(能動態) Soaring electricity prices confronted XYZ Semiconductor Corp..
電気料金の高騰がXYZ半導体株式会社の前に立ちはだかる
【不正解の選択肢】
(A) facing の原型“face”が他動詞の場合は「(困難などに)直面する。(物、場所、建物など)に面する」という意味です。他動詞では必ず目的語が必要です。仮に“with”が無ければ、“主語 + facing soaring electricity prices”で正しい表現です。また過去分詞“faced”だと受動態として機能するため、“主語 + faced with soaring electricity prices”も正しい表現です。
(B) encountering の不正解理由は(A)の理由とほとんど同じです。encounterが他動詞の場合は「(困難などに)直面する。(人に偶然)出会う」という意味を持っています。他動詞では必ず目的語が必要です。仮に“with”が無ければ、“主語 + encountering soaring electricity prices”で正しい表現となります。またencounterの過去分詞“encountered”だと受動態として機能するため、“主語 + encountered with soaring electricity prices”も正しい表現となります。
(D) collapsed は自動詞の過去分詞です。“collapse with ~”の句動詞は「(~の負債を抱えて)倒産する」という意味です。
【答え】
(C) confronted
Question #9
The company is arranging the production schedule based on the __________ that their products are in huge demand.
(A) assumption
(B) declaration
(C) investigation
(D) determination
※問題の解答は下にあります↓
Q9の解説(名詞の語彙問題)
【問題文】
The company is arranging the production schedule based on the assumption that their products are in huge demand.
その会社は自社の製品は大きな需要があるという前提に基づいた生産計画を立てている。
(A) assumption (B) declaration (C) investigation (D) determination
この問題文は「複文」(Complex Sentences) と呼び、次の2つの節(Clause)から構成されています。
(主節) The company is arranging the production schedule based on the assumption
(従位節) that their products are in huge demand
主節の“production schedule” は「生産計画」という意味です。“based on the assumption”は形容詞句で「前提に基づく」と訳します。
次の例ではカッコ付きで“which is”と書いていますが、問題文では“which is”(関係代名詞+be動詞)は省略されています。
(主節) The company is arranging the production schedule (which is) based on the assumption
従位節の“that their products are in huge demand”は形容詞節で assumption を修飾しています。
【解き方】
選択肢はすべて名詞です。(A) assumptionは「前提。仮定。想定」。(B) declarationは「宣言。公表。申告」。(C) investigationは「調査。研究」。(D) determinationは「決意。決断。決断力」。選択肢の単語をブランクに入れて文の意味が通じる単語は assumption のみです。
【答え】
(A) assumption
Question #10
Online advertising has gained __________ throughout the world as an alternative to TV commercials.
(A) current
(B) currency
(C) currently
(D) currencies
※問題の解答は下にあります↓
Q10の解説(品詞問題)
【問題文】
Online advertising has gained currency throughout the world as an alternative way to TV commercials.
オンライン広告は、TVコマーシャルの代わりの方法として、世界中で普及しています。
(A) current (B) currency (C) currently (D) currencies
“currency”は名詞で「貨幣。普及」。この文では「普及」という意味で使っています。“gain currency”は「普及する」。“has gained currency”は現在完了形で「普及している」と訳します。“throughout the world”は副詞句で“gained”を修飾しています。“as an alternative way to TV commercials”は形容詞句で“currency”を修飾しています。“alternative way to ~”は「~の代わりの方法」という意味です。
【解き方】
選択肢の (A) currentは形容詞では「今の。現在の。」、名詞では「(空気や水などの)流れ。電流。動向」。(B) currencyは名詞で「貨幣。普及」。(C) currentlyは副詞で「現在は」。(D) currenciesは“currency”の複数形で「通貨」という意味です。
この問題を解くには、まず空所の前の“gained”に着目します。ここでの“gain”は他動詞だから必ず目的語が必要です。選択肢の中で目的語として使える単語は(A) current、 (B) currency、 (D) currenciesです。空所に入れて意味が通じる単語は(B) currency のみです。
【不正解の選択肢】
(A) current の名詞は「(空気や水などの)流れ。電流。動向」などの意味です。いづれの意味でも文の意味が通じません。
(C) currentlyは副詞だから、もし“gain”が自動詞だった場合は文法的には使えそうです。しかし“gain”の自動詞の意味は「利益を得る。増加する」で、空所に入れても文の意味が通じません。
(D) currencies を空所に入れると“Online advertising has gained currencies.”で、「オンライン広告は通貨を獲得した。」という訳となり不自然です。基本的にオンライン広告は、商品やサービスの利用者を獲得するためのものです。(D) currenciesも不適切です。
【答え】
(B) currency
TOEIC Part5 短文穴埋め問題 Vol.2-1
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