このシリーズでは、英文法を例文を使って分かりやすく解説します。今回のテーマは「完了形」です。
完了形は動詞の時制の一つです。完了形には、現在完了形、過去完了形、未来完了形の三つがあります。それぞれ「現在」、「過去」、「未来」とついていることから分かるように、三つの完了形は出来事が「いつ起こったのか」によって使い分ける必要があります。完了形を適切に使うことで、文章に様々なニュアンスをもたせることができます。
目次
現在完了形
現在完了形には「継続」「経験」「完了」「結果」の4つの意味があります。また現在完了形は「主語+have+動詞の過去分詞形」で組み立てます。
【継続】
過去から始まり、現在に続く状態を表す。
I haven’t eaten anything since I got up.
私は起きてから何も食べていません。
【経験】
人が人生において経験したことを表す。
They have been to Tokyo before.
彼らは東京に行ったことがあります。
He has eaten crocodile twice.
彼はワニ肉を2回食べたことがある。
【完了】
ある動作が完了したことを強調する。
She has already finished reading the book.
彼女はその本をすでに読んでしまっている。
【結果】
ある動作の結果を強調する。以下の例文は、「彼が学校に行った、その結果、彼はいません」というニュアンスです。
He has just gone to school.
彼はちょうど学校に出かけました。
継続を表す現在完了形
継続を表す現在完了形は、過去に始めたことや起こったこと、過去に生じた状態が今も継続していることを表します。
I’ve lived in this house since I was a baby.
私は赤ちゃんの頃からこの家に住んでいる。
経験を表す現在完了形
経験を表す現在完了形は「~したことがある」という意味を表します。「過去の出来事・物事が現在に影響を与えている」ことを表す現在完了形と「~したことがある」という表現は関係ないように思えますが、「現在の自分には過去に~した経験がある」、「過去にした~という経験をもって現在の自分がある」のように考えると、現在完了形を使う理由が分かりやすくなるでしょう。
I have been to London.
私はロンドンに行ったことがある。
He has seen a crocodile.
彼はワニを見たことがある。
結果を表す現在完了形
経験を表す現在完了形は「過去に起こった出来事や過去に行ったこと(結果)が、現在もまだ影響を与えている」ことを表す用法です。過去形と混同しやすい用法ですが、例文から違いを見てみましょう。
以下の例文は過去形で、「時計をなくした」という過去に起きた出来事を表しています。
I lost my watch.
私は時計をなくした。
以下の例文は現在完了形です。上記の例文(過去形)とは異なり、この例文には、時計をなくした結果、「今も時計は見つからないままだ」というニュアンスがあります。
I have lost my watch.
私は時計をなくしてしまった。
以下の例文は、どちらも日本語では「姉は東京へ行った」と訳すことができます。しかし、過去形の例文が、「姉が東京へ行った」という過去の事実を単純に表しているのに対し、現在完了形の例文には「姉は今も東京にいる」ということが含意されています。
【過去形】
My sister went to Tokyo.
姉は東京へ行った。
【現在完了形】
My sister has gone to Tokyo.
姉は東京へ行った。
上記の過去形の例文からは、「姉がまだ東京にいるのか?」とか「帰ってきたのか?」といった情報を読み取ることができませんが、現在完了形の例文からは「姉は東京に引っ越した結果、今はここにはいない」のニュアンスを読み取ることができます。
現在完了進行形
特に動作が現在まで続いていることを表す場合には、現在完了進行形を使います。現在完了進行形は「have/has+been+動詞のing形」で作ります。
I’ve been working for this company for 10 years.
私はこの会社に10年勤めている。
She has been reading in the library for hours.
彼女は何時間も図書館で本を読み続けている。
He has been learning the violin since January.
彼は1月からバイオリンを習っています。
I have been looking for my keys for 30 minutes.
私は30分間ずっと鍵を探しています。
現在完了形と現在完了進行形の間に意味の違いはほぼありませんが、現在完了進行形を使うと、「長い間ずっと~している」ことがより強調されます。また、現在完了形を使うと、これから先もその動作を続けていく可能性が高いというニュアンスが出ます。
完了形の否定文・疑問文
現在完了形の否定文は、haveまたはhasの後にnotをつけて作ります。
I have not read the book yet.
まだその本は読んでいません。
I have not been to London.
私はロンドンに行ったことがない。
He has not seen a crocodile.
彼はワニを見たことがない。
notの代わりにneverを使って、「一度も~ない」という否定文を作ることもできます。
I have never been overseas.
私は海外に行ったことが一度もない。
He has never seen a crocodile.
彼はワニを見たことが一度もない。
I’ve never broken a bone.
私は骨を折ったことが一度もありません。
現在完了形の疑問文を作る場合には、haveまたはhasを文頭に移動させます。
Have you read the book?
その本を読みましたか?
Have you been to London?
ロンドンに行ったことがありますか?
Have you seen a crocodile before?
ワニを見たことがありますか?
経験を表す現在完了を疑問文にする場合に、「今まで」という意味をもつeverを使うこともあります。
Have you ever met a famous person?
今までに有名人に会ったことはありますか?
過去完了形・未来完了形
現在完了形は、現在の視点から「過去の出来事・物事が現在に影響を与えている」ことを表す用法であると上記で解説しました。過去完了形は「過去のある時点において経験したこと、または継続・完了していたこと」を表します。
未来完了形は、「未来のある時点において経験しているであろうこと、または継続・完了しているであろうこと」を表す用法です。まず過去完了形から詳しく見てみましょう。
過去完了形
過去完了形は「主語+had+動詞の過去分詞」で作ります。まずは例文を見てみましょう。
以下の例文は、「彼女が帰ってしまったこと」は、「私がパーティー会場に着いたこと」より前に起きた出来事です。
She had already left when I arrived at the party.
私がパーティー会場に着いた時には、彼女はすでに帰ってしまっていた。
When I arrived at the station, the train had already left.
私が駅に着いた時、電車はもう出発していました。
以下の例文は「経験」を表していますが、現在ではなく「大学卒業前」という過去の時点から過去の経験を振り返っています。「二回海外旅行をしたこと」は「大学卒業」より前に起きた出来事です。
I had been overseas twice before I graduated from college.
私は大学卒業までに、二回海外旅行をした。
以下の例文は「継続」を表していますが、現在ではなく「40歳になる前」という過去の時点から、それまで継続していたことを振り返っています。「その会社に勤め続けていたこと」は、「40歳になる」までのことで、現在は関係ありません。
I had worked for the company until I turned 40.
40歳になるまで私はその会社に勤めていた。
過去完了進行形
過去完了進行形は「主語+had+been+動詞のing形」で作り、過去のある時点において特定の動作を継続していたことを表します。
When I joined the company, William had already been working there for 5 years.
私が入社した時、ウィリアムはすでに5年勤めていました。
未来完了形
未来完了形は「主語+will have+動詞の過去分詞」で作ります。現在完了形、過去完了形と同様に、未来完了形も「完了」、「経験」、「継続」を表すことができます。
【完了】
By the time my parents come back, I will have finished this piece of homework.
両親が返ってくるまでには、この宿題を終わらせているだろう。
The match will have finished by the time I can leave work.
私が会社を出れる時までに、試合は終わっているでしょう。
In 5 years time I will have graduated from university.
5年後に私は大学を卒業しているでしょう。
【経験】
With my next trip I will have been to Tokyo five times.
次の旅行で、私は東京に5回行ったことになる。
【継続】
Next year I will have worked for this company for 10 years.
来年で、この会社に勤めて10年になる。
未来完了進行形
未来完了進行形は「主語+will+have+been+動詞のing形」で作り、未来のある時点において特定の動作がまだ続いていることを表します。
By the end of next month, I will have been working here for 10 years.
来月末で私はここに勤めて10年になる。