このシリーズでは、英文法を例文を使って分かりやすく解説します。今回のテーマは「代名詞」です。
代名詞とは、名詞の代わりをする単語のことをいい、日本語の「私」「あなた」「それ」などに該当します。
代名詞には5種類あり、このページでは「人称代名詞」「指示代名詞」「不定代名詞」を解説します。
「疑問代名詞」と「関係代名詞」については別ページで解説します。
目次
人称代名詞
人称代名詞とは、「私」「あなた」「彼」などの人を表す代名詞です。人称代名詞は「主格」「所有格」「目的格」、それぞれで変化します。
「格」とは、英文の中で「名詞・代名詞」と「他の単語」が、どんな関係なのかを表すための形(変化形)のことを言います。
人称代名詞の格変化
人称代名詞は、「1人称」が話し手、「2人称」が聞き手、「3人称」が第三者、の3つのパートに分かれています。
更に、1人称から3人称までの人称代名詞は、「主格」「所有格」「目的格」で変化します。
人称代名詞の格変化【単数形】
人称 | 主格 | 所有格 | 目的格 |
---|---|---|---|
1人称 | I | myself | me |
2人称 | you | your | you |
3人称 | he | his | him |
3人称 | she | her | her |
3人称 | it | its | it |
人称代名詞の格変化【複数形】
人称 | 主格 | 所有格 | 目的格 |
---|---|---|---|
1人称 | we | our | us |
2人称 | you | your | you |
3人称 | they | their | them |
人称代名詞 主格
主格の人称代名詞は、主に主語で使います。
【主格の人称代名詞】
I(私は)、you(あなたは)、he(彼は)、she(彼女は)、it(それは)、we(私たちは)、they(彼らは・彼女らは・それらは)
以下の例文では、「I」と「They」が主格の人称代名詞です。「They」は人だけでなく「動物・物・事」の代名詞として使えます。
[1] I have a lot of books.
私はたくさんの本を持っています。
[2] They are in the bookshelf.
それらは本棚に置いています。
人称代名詞 所有格
所有格の人称代名詞は、主に所有を表します。
【所有格の人称代名詞】
my(私の)、your(あなたの)、his(彼の)、her(彼女の)、its(その)、our(私たちの)、their(彼らの・彼女らの・それらの)
以下の例文では、「my」と「their」が所有格の人称代名詞です。「their」は人だけでなく「動物・物・事」の代名詞として使えます。
My goal is to help my students improve their English skills.
私の目標は、生徒たちが英語力を改善できるように手助けすることです。
人称代名詞 目的格
目的格の人称代名詞は、主に動詞の目的語として使います。
【目的格の人称代名詞】
me(私に/を)、you(あなたに/を)、him(彼に/を)、her(彼女に/を)、it(それに/を)、us(私たちに/を)、them(彼らに/を・彼女らに/を・それらに/を)
以下の例文では、「us」が目的格の人称代名詞です。
Please let us know as soon as possible.
私たちにできるだけ早くお知らせください。
以下の例文では、「them」が目的格の人称代名詞です。「them」は人だけでなく「動物・物・事」の代名詞として使えます。
I like them a lot.
私は彼らを、とても好きです。
所有代名詞
所有代名詞は、「人称代名詞の所有格」の機能を持つ代名詞です。所有代名詞は、主語・目的語・補語として使うことができます。
【所有代名詞】
mine(私のもの)、yours(あなたのもの)、his(彼のもの)、hers(彼女のもの)、ours(私たちのもの)、theirs(彼らのもの・それらのもの)
以下の例文では、「mine」が1人称・単数の所有代名詞です。「mine」は「Your lunch」(あなたのランチ)を受けて、「私のランチ」という意味を表しています。
Your lunch set looks better than mine.
あなたのランチセットは、私のものよりも美味しそうですね。
以下の例文では、「yours」が2人称の所有代名詞です。「yours」は第2文型の補語として用いています。
That suitcase is yours.
そのスーツケースは、あなたの物です。
以下の例文では、「A friend of mine」で1人称の所有代名詞を使っています。「名詞 + of + 所有代名詞」のフレーズは良く使われます。
A friend of mine from high school became a doctor.
私の高校時代の友人は医者になった。
所有代名詞の人称変化
人称 | 単数 | 複数 |
---|---|---|
1人称 | mine | ours |
2人称 | yours | yours |
3人称 | his/hers | theirs |
再帰代名詞
再帰代名詞は、主語(S)と目的語(O)が同じ人物を指す場合、目的語(O)には再帰代名詞を使います。
再帰代名詞は、再帰動詞や前置詞の目的語としてよく用いられます。
【再帰代名詞】
myself(私自身)、yourself(あなた自身)、himself(彼自身)、herself(彼女自身)、itself(それ自身)、ourselves(私たち自身)、yourselves(あなたたち自身)、themselves(彼ら自身・それら自身)
以下の例文では、再帰動詞の目的語として「再帰代名詞」を用いています。
He prides himself on his background.
彼は自分の経歴に誇りを持っている。
She saw herself in the mirror.
彼女は鏡で自分を見ました。
Let me introduce myself.
自己紹介させてください。
以下の例文では、前置詞の目的語として「再帰代名詞」を用いています。
Take care of yourself.
お体にお気をつけてください。
She has finished her homework by herself.
彼女は自分で宿題を終わらせた。
I need more time for myself.
私は自分のための時間がもっと必要です。
再帰代名詞の人称変化
人称 | 単数 | 複数 |
---|---|---|
1人称 | myself | ourselves |
2人称 | yourself | yourselves |
3人称 | himself/herself/itself | themselves |
指示代名詞
指示代名詞とは、人・物・事を指し示す代名詞のことです。日本語の「これ」「それ」「あれ」に該当します。
【空間的・心理的に距離が近い、指示代名詞】
this(これ)、these(これら)
【空間的・心理的に距離が遠い、指示代名詞】
that(あれ)、those(あれら)
以下の例文の「this」は、主語として用いています。このような用法を、「独立用法」と呼びます。
This is Mrs. Kennedy.
こちらはケネディ婦人です。
以下の例文の「this」「that」「these」は、形容詞として用いています。このような用法を、「指示形容詞」と呼びます。
This book is a very interesting.
この本はとても面白いです。
That bridge is very long.
あの橋はとても長いです。
These cookies are delicious.
このクッキーは美味しいです。
以下の例文の「this」は、最初の文の内容を指しています(This = I was absent from work yesterday)。
I was absent from work yesterday. This is because I caught a cold.
私は昨日、仕事を休みました。理由は、風を引いたからです。
不定代名詞
不定代名詞とは、不特定の人・物を指し示す場合に用いる代名詞です。
【不定代名詞】
one、other、another、each other、one another、some、any、several、both、all、each、either、neither、someone、anyone、everyone、no one、none,nothing
one:ある1つ、~のうちの1つ
前に登場した名詞を、後に用いる場合は、その名詞を「one」で置き換えます。
以下の例文では、前の文に「a pen」が登場していますが、後の文では「pen」は特定されていないので、「one」で受けます。
If you need a pen, I’ll lend you one.
ペンが必要なら1つ貸しますよ。
以下の例文では、前の文に「a car」が登場していますが、後の文では「car」は特定されていないので、「one」で受けます。
I don’t have a car, so I’ll have to buy a new one.
車を持っていないから一台買わないといけない。
以下の例文では、「one of 複数形」のフレーズを使っています。私たちの中の1人という意味です。
You are one of us.
あなたは私たちの一員です。
以下の例文の「one」は「人はだれでも」という意味で、堅苦しい印象を与えます。
One cannot change the past.
人は過去を変えられない。
other:(2つある中で)もう一方の物。(3つ以上の中で)それ以外の物
以下の例文の「other」は、「2つある中のもう1つ」という意味で、特定されるからotherの前に「the」を付けています。
One is for you and the other is for her.
ひとつはあなたに、もうひとつは彼女のものです。
以下の例文の「other」は、「それ以外の質問」という意味です。「any」は疑問文で「何か」という意味です。
Except for that question, are there any others?
その質問を除いて、ほかに何かありますか。
another:もう1つ[1人]。別の物[人]
以下の例文の「another」は、「別の話」という意味の不定代名詞です。
I know that story. Tell me another.
その話は知っています。別の話をしてください。
「vary from A to B」はよく使われるフレーズで、「AからBまで異なる(様々である)」という意味です。
Culture varies from one country to another.
文化は国によって異なる。
each other:お互いに
以下の例文の「each other」は、相互代名詞と呼ばれる代名詞です。「each other」はloveの目的語として使われています。
They love each other very much.
彼らはお互いをとても愛している。
以下の例文の「with each other」は、副詞句として「agreed」を修飾しています。
They agreed with each other.
彼らはお互いに合意した。
one another:お互いに
以下の例文の「one another」は、相互代名詞と呼ばれる代名詞です。
They are pleased to collaborate with one another.
彼らはお互いに協力し合うことを喜んでいる。
some:いくつか、少し
「some」は複数形の加算名詞と不可算名詞の、両方の不定代名詞として受けることができます。
We will try some of these ideas.
私たちはこれらのアイディアのいくつかを試すつもりです。
The employer won’t employ some of these applicants.
雇用主は、応募者の何人かは採用しないでしょう。
any:【肯定文】どれでも
「any」は肯定文で用いる場合、「どれでも」という意味になります。
I am available on any of those dates.
それらの日にちでしたら、どれでも空いています。
any:【否定文】どれも
以下の例文は否定文で、「any」は「どの日も」という意味です。
I am not available on any of those dates.
それらの日にちでしたら、どれも空いていません。
several:いくつか、何人か
「several」のニュアンスは、2~3個より多いが「many」ほど多くないものを指します。複数扱いです。
Several of my friends gave me birthday presents.
私の友人の何人かが、私に誕生日プレゼントをくれました。
both:2人とも、2つとも、両方とも
I ate a ramen and a steak yesterday. Both of them were delicious.
私は昨日ラーメンとステーキを食べました。両方とも美味しかったです。
※「both」は複数扱い
all:全員、全部
We have finished all of the necessary tasks.
私たちは必要な作業をすべて終えました。
※「all」は複数扱い
each:それぞれ、おのおの
The company gave a presentation to each of their clients
その会社はそれぞれのクライアントへプレゼンテーションを行った。
※「each」は単数扱い
either:【肯定文】(2人の中で)どちらか。(2つの中で)いづれか
Either of the two doctors is supposed to be in charge.
2人の医者のどちらかが担当することになっています。
※「either」は単数扱い
neither:【肯定文】(2人のうち)どちらも~でない。(2つのうち)いづれかも~でない
Neither of the two teacher is good at speaking English.
2人の先生のどちらも、英語を話すことが苦手です。
※「neither」は単数扱い
someone:【肯定文】誰か、ある人
「someone」と似ている不定代名詞で「somebody」があります。somebodyの方がくだけた印象で、会話で使われる傾向があります。
Someone saved me from drowning
誰かが私が溺れているところを助けてくれた。
anyone:【疑問文・否定文】だれか
「anyone」は肯定文でも使えますが、疑問文・否定文の方が多く使われています。
Does anyone speak Spanish?
スペイン語を話せる人はいますか?
※anyoneと似ている不定代名詞で「anybody」があります。anybodyの方がくだけた印象を与えます。
anyone:【否定文】誰も(~ない)
「anyone」は否定文では、主語としては使えません。
My child doesn’t listen to anyone.
私の子供は誰の言うことも聞かない。
everyone:【肯定文】誰でも、みんな
「everyone」と似ている不定代名詞で「everybody」があります。everybodyの方がくだけた印象を与えます。
Everyone should learn how to program a computer
誰でもコンピューターのプログラミング方法を学ぶべきです。
※「everyone」は単数扱い
no one:【肯定文】誰も~ない
「no one」と似ている不定代名詞で「nobody」があります。nobodyの方が口語的な表現です。
No one has ever climbed the mountain before.
今まで、その山に登った人間は誰もいません。
※「no one」は単数扱い
none:【肯定文】誰ひとり~ない、何ひとつ~ない
「none」と似ている不定代名詞で「no one」があります。noneの方が硬い表現で、人以外でも受けることができます。
None of the students could solve the problem.
生徒の誰もその問題を解けなかった。
※生徒が2人の場合は「none」の代わりに「neither」を使います。
nothing:【肯定文】何も~ない
「nothing」は特定されていない名詞を受ける不定代名詞です。
I have nothing to say about it.
それに関して何も言うことはありません。
※「nothing」は単数扱い
疑問代名詞
疑問代名詞は、以下のページで解説します。
関係代名詞
関係代名詞は、以下のページで解説します。