このシリーズでは、英文法を例文を使って分かりやすく解説します。今回のテーマは「文の要素・基本5文型」です。
英語の文は、「主部」と「述部」から構成されています。主部は文の中心である「主語」を含み、述部は「動詞」「目的語」「補語」を含んでいます。
文を構成する「主語・動詞・目的語・補語」を「文の要素」と呼び、文の要素を説明する句を「修飾語句」と呼びます。
文の要素の組み合わせで、英語の「基本5文型」が構成されます。
目次
文
英語と日本語の語順の違いと、英文を構成する「文の要素」について説明します。
英語の語順
英文法では、単語を並べる語順がとても重要です。極端に言えば、「英文法とは単語の並べ方のルール」だと言えます。
日本語の場合は、主語と目的語を表す「は」「が」「を」の助詞があるので、主語と目的語を入れ替えても意味が通じます。
[1] ジョンはリンゴを食べた。
[2] リンゴをジョンは食べた。
上記の例文[1][2]のどちらの文も、「ジョン」が主語、「リンゴ」が目的語、「食べた」が動詞です。
例文[1]の方が自然な言い方ですが、例文[2]のように、主語と目的語を入れ替えても意味は通じます。なぜなら「は」と「を」が付いているからです。
一方、英語では、助詞(は・が・を)に相当する言葉がありません。よって、どの言葉が主語か、どの言葉が目的語かというのは、語順で判断する必要があります。
[3] John ate an apple.
ジョンはリンゴを食べた。
上記の例文[3]の主語と目的語を入れ替えたら、以下の例文[4]のように、文の意味が180度変わってしまいます。
[4] An apple ate John.
リンゴはジョンを食べた。
このように英語では、単語を並べる「語順」が非常に重要です。
文の要素
「文の要素」には、「主語(S)」「動詞(V)」「目的語(O)」「補語(C)」があります。
※主語の「S」とは、subjectの頭文字
※動詞の「V」とは、verbの頭文字
※目的語の「O」とは、objectの頭文字
※補語の「C」とは、complementの頭文字
主語(S)
主語とは、動作や状態の主体を表す言葉です。日本語では「は」と「が」が付く言葉です。
Her dream is to travel around the world.
彼女の夢は世界中を旅することです
※dreamが主語
動詞(V)
動詞とは、動作や状態を表す言葉です。動詞の特徴として、文中での役割によって形が変化します。
He prefers meat to fish.
彼は魚よりも肉が好きだ。
※prefersが動詞
変化したそれぞれの動詞の形を「活用形」と呼び、以下の5種類あります。
原形:
辞書に載っている形(be, do, haveなど)。
現在形:
be動詞とhave以外、また、三人称単数のsが付かなければ「原形」と同じ形(is, am, do, have, makeなど)。
過去形:
規則変化する動詞は、原形に-edを付けた形。不規則変化動詞はそれぞれ変化するので、一つ一つ覚える必要があります(was, did, wanted, hadなど)。
過去分詞形:
英語でpast particle (p.p)と呼ばれるもの。「過去形」と同じく規則変化する動詞は、原形に-edを付けた形。
不規則変化動詞はそれぞれ変化します(been, done, brokenなど)。
現在分詞形:
一般的にing形とも呼ばれる形で、基本的には原形の後ろにingを付けた形(being, doing, havingなど)。
目的語(O)
目的語とは、他動詞の動作や行為の対象を表す言葉です。目的語は名詞と代名詞のみが該当して、役割を果たします。
第3文型、第4文型、第5文型に登場する他動詞は、目的語を必ず必要とします。他動詞(他動詞用法の動詞)と目的語は切っても切り離せない関係です。
目的語には「直接目的語」と「間接目的語」の2種類があります。直接目的語は動作の直接の対象となるもののことです。日本語では「を」が付く言葉です。
間接目的語は動作の受け手のことです。日本語では「に」で表すことが多いです。
I wrote her a letter.
私は彼女に手紙を書きました。
※a letterが直接目的語
※herが間接目的語
補語(C)
補語とは「主語」や「目的語」を説明する要素です。「主語+動詞」の文や「主語+動詞+目的語」の文が不完全で意味が通じない場合に、「補語」を使います。
補語は、「第2文型」と「第5文型」で登場します。第2文型では主語を、第5文型では目的語を修飾します。
The success of my business made me rich.
仕事の成功おかげで、私は裕福になった。
※richが補語
修飾語句(M)
文の要素に対して、意味を補ったり、修飾したりする語句を「修飾語句(M)」と呼びます。修飾語句は文にとって必須要素ではありませんが、より詳しい説明や情報を付加する働きをします。
修飾語句のうち、「名詞」を修飾するのは「形容詞」、「名詞以外(形容詞、副詞、動詞、文、句、節)」を修飾するのは「副詞」です。
Apparently he solved the difficult problem very easily.
どうやら彼はその難しい問題を、とても簡単に解いたようだ。
※Apparently(どうやら)は副詞で、文全体を修飾している修飾語句
※difficult(難しい)は形容詞で、problem(問題)の名詞を修飾している修飾語句
※very(非常に、とても)は副詞で、easily(簡単に)の副詞を修飾している修飾語句
※easily(簡単に)は副詞で、solve(解決する)の動詞を修飾している修飾語句
基本5文型
基本5文型とは、「動詞(V)」の後に続く「補語(C)」や「目的語(O)」が、どのように配列されるかにより、5つの文型に分類したものです。
文型の種類
英語の文は、以下の5種類に分けることができます。
第1文型(SV):主語+動詞
第2文型(SVC):主語+動詞+補語
第3文型(SVO):主語+動詞+目的語
第4文型(SVOO):主語+動詞+間接目的語+直接目的語
第5文型(SVOC):主語+動詞+目的語+補語
上記の「基本5文型」を比較すると、以下の法則があります。
【法則】
[1]英語の文には主語と動詞が必ず存在する。
[2]主語は文の最初に置き、動詞は主語の後に置く。
[3]目的語は文型によっては無い場合もあるが、ある場合は動詞の後に置く。
第1文型:S + V
第1文型の動詞は、後ろに補語(C)も目的語(O)も必要のない動詞(V)です。よって、第1文型の動詞は自動詞です。
I laughed.
私は笑った。
※S + V
He slept well.
彼はよく寝た。
※S + V + M(well)
She was running in the park yesterday.
彼女は昨日、公園を走っていた。
※S + V + M(in the park) + M(yesterday)
第2文型:S + V + C
第2文型の動詞は、後ろに補語(C)を必要とします。「補語(C)」とは、主語(S)を説明する名詞や形容詞のことです。
補語は動詞の動作の対象ではないので「目的語(O)」とははっきり区別されます。第2文型の動詞は自動詞です。
I am a student.
私は学生です。
※S + V + C(student)
It is cold in winter in this room.
この部屋は冬は寒い。
※S + V + C(cold) + M(in winter) + M(in this room)
第3文型:S + V + O
第3文型の動詞は、後ろに「目的語(O)」を1つ必要とする他動詞です。
目的語になれる品詞は原則として名詞と代名詞です。目的語とは動詞の対象となるものです。
I play the piano.
私はピアノを弾きます。
※S + V + O(piano)
He likes music very much.
彼は音楽がとても好きです。
※S + V + O(music) + M(very much)
第4文型:S + V + O1 + O2
第4文型の動詞は、後ろに「目的語(V)」を2つ必要とする他動詞です。第4文型の動詞は、その動作の対象が2つないと成立しないような動詞です。
例えば、give(与える)という行為は「与える対象」と「与える物」の2つがないとできません。
以下の例文で、1番目の目的語は「間接目的語(O1)」、2番目の目的語は「直接目的語(O2)」と呼びます。
I gave my mother a gift.
私は母に贈り物をあげた。
※S + V + O1(mother) + O2(gift)
He sent me a letter one week ago.
一週間前、彼は私に手紙を送った。
※S + V + O1(me) + O2(letter) + M(one week ago)
第5文型:S + V + O + C
第5文型の動詞は、後ろに「目的語(O)」と「補語(C)」を必要とする他動詞です。
目的語(O)と補語(C)の関係は「O = C」です。OをCが説明する(修飾する)関係になっています。
I made him angry.
私は彼を怒らせた。
※S + V + O(him) + C(angry)
I find this book interesting.
私はこの本を面白いと思う。
※S + V + O(book) + C(interesting)